全国木材検査・研究協会
1.林産物のJASについての質問と回答
Q 1-1 林産物のJASとはどのようなものですか。
JASとは、日本農林規格の英訳であるJapan Agricultural Standardの略称です。

この規格は、日本農林規格等に関する法律に基づいて制定されています。日本農林規格等に関する法律は「JAS法」、日本農林規格は、「JAS規格」と通称されています。

JAS法の目的は、「農林水産分野において適正かつ合理的な規格を制定し、適正な認証及び試験等の実施を確保するとともに、飲食料品以外の農林物資の品質表示の適正化の措置を講ずることにより、農林物資の品質の改善並びに生産、販売その他の取扱いの合理化及び高度化並びに農林物資に関する取引の円滑化及び一般消費者の合理的な選択の機会の拡大を図り、もって農林水産業及びその関連産業の健全な発展と一般消費者の利益の保護に寄与すること」にあります。

この法律において、林産関係の農林物資は、これまでの一般材、押角、耳付材、電柱、枕木、合板、床材、木炭から、木材のほか竹材、漆、立木竹も対象となりました。

JAS制度全般については、こちらから
Q 1-2 林産物のJASには、どのような種類の規格がありますか。
林産物のJASには、9種類の規格があります。
① 製材の日本農林規格
② 枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格
③ 集成材の日本農林規格
④ 直交集成板の日本農林規格
⑤ 単板積層材の日本農林規格
⑥ 構造用パネルの日本農林規格
⑦ 合板の日本農林規格
⑧ フローリングの日本農林規格
⑨ 素材の日本農林規格

製材の日本農林規格は、針葉樹の目視等級区分構造用用材、機械等級区分構造用製材、造作用製材、下地用製材及び広葉樹製材に区分して定めています。

枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格は、甲種枠組材、乙種枠組材、MSR枠組材、たて枠用たて継ぎ材、甲種たて継ぎ材、乙種たて継ぎ材及びMSRたて継ぎ材に区分して定めています。

集成材の日本農林規格は、造作用集成材、化粧ばり造作用集成材、構造用集成材及び化粧ばり構造用集成柱に区分して定めています。

合板の規格は、普通合板、コンクリート型枠用合板、構造用合板、化粧ばり構造用合板、天然木化粧合板及び特殊加工化粧合板に区分して定めています。
Q 1-3 JASマークは、どのような手順で表示されますか。
製品(農林物資)にJASマークが表示できるのは、登録認証機関から認証を取得した認証事業者だけです。

林産物の場合、JASマークは、認証事業者が任意で製品に表示する標章です。林産物の認証事業者は、製品のJAS規格への適合を検査・判定します。認証事業者は、格付した製品にJASマークを表示して販売できます。

認証事業者の工場等で製造される製品の格付は、
① 試料の抜き取り(サンプリング)
② 抜き取った試料の検査(テスティング)と基準への適否判定
③ 判定結果に基づくJASマークの表示(ラベリング)
の3つのプロセスを経て行われます。

認証事業者は、製品を連続して生産しているため、格付をする前にJASマークを製品に表示することが認められています。ただし、この場合にあっても、JASマークの表示内容が格付の結果と一致していなければ、認証事業者はその製品を販売できません。格付の結果とJASマークの表示内容が異なる場合、認証事業者はその製品からJASマークを除去しなければなりません。

なお、事業者を認証する登録認証機関は、ISO/IEC 17065への適合等JAS法で定める基準に適合する法人で、農林水産大臣が登録した機関です。
Q 1-4 製材の認証におけるAタイプ認証事業者、Bタイプ認証事業者とは何でしょうか。
■Aタイプ認証事業者
Aタイプ認証事業者は、「製材についての取扱業者の認証の技術的基準」(平成13年8月28日農林水産省告示第1137号)及び「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材についての取扱業者の認証の技術的基準」(平成12年6月9日農林水産省告示第817号)の要件を満たし、認証を受けた製品について、自ら検査、判定・格付を行い、JASマークを表示できる事業者です。
■ Bタイプ認証事業者
Bタイプ認証事業者は、「製材についての取扱業者の認証の技術的基準」及び「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材についての取扱業者の認証の技術的基準」の内、自ら格付のための試料の検査を行わずに、検査を外部の第三者検査機関に依頼し、その結果に基づいて判定・格付を実施してJASマークを表示する認証事業者です。
認証の技術的基準では、製造または加工、保管、品質管理及び格付のための施設、品質管理の実施方法、品質管理を担当する者の資格及び人数、格付の組織及び実施方法、格付を担当する者の資格及び人数を定めています。
Q 1-5 第三者検査機関とはどのような機関ですか。
第三者検査機関は、格付のための試料の試験・検査を行い、検査を適正に行える機械器具及び検査を公正に実施できる人員を配置している機関です。

北海道を除く都府県に所在する第三者検査機関が格付のための試料の試験・検査を行うには、一般社団法人全国木材検査・研究協会(以下、「全木検」という。)(登録認証機関)の許可が必要です。北海道では、北海道林産物検査会(tel (011)251-7830)がBタイプ認証事業者の格付のための検査業務を実施しています。
Q 1-6 認証事業者の要件の一つとして品質管理及び格付を担当する資格者の配置が必要と聞いています。この資格はどのようにして取得できますか。また、資格者は何人必要ですか。
「製材についての取扱業者の認証の技術的基準」では、認証工場等に配置すべき品質管理を担当する者及び格付を担当する者の資格及び人数を定めています。ただし、経営者は除きます。

配置する資格者の人数は、Aタイプ認証事業者は3名以上、Bタイプ認証事業者では2名以上です。また、このほかに自社の乾燥処理施設を用いて人工乾燥処理製材、人工乾燥枠組材及び天然乾燥処理製材を製造する認証事業者は木材乾燥士または針葉樹製材乾燥技術者の資格者を1名以上、保存処理製材の認証工場では木材保存士の資格者1名以上の配置が必要です。

品質管理及び格付を担当する者の資格は、北海道以外の地域に所在する工場に勤務している方は、全木検が開催している資格者等養成研修会を受講し、所定の成績を納めた後、登録認証機関が資格者として登録することにより資格が与えられます。

北海道に所在する工場に勤務している方は、一般社団法人北海道林産物検査会に問い合わせて下さい。

全木検では品質管理及び格付を担当する資格者等養成研修会を、認証品目区分及び製造条件の違いにより、製材、枠組材及び保存処理製材の3つに区分して実施しています。例えば、同一工場で製材と枠組材の認証を取得する場合は、「製材」と「枠組材」の資格がそれぞれ必要(同一人物でも可)となります。

さらに、品質管理及び格付を担当する資格者の資格要件の維持のために、資格者等養成研修会修了後3年を経過し、かつ、4年未満の資格者を対象に更新研修を行っています。資格者養成等研修会の開催日程等については、全木検のウェブサイトでお知らせします。

なお、次の資格については、全木検以外の機関が取り扱っていますので、各機関にお問い合わせください。
■木材乾燥士
公益社団法人日本木材加工技術協会(tel(03)3816-8081)
■針葉樹製材乾燥技術者
公益財団法人日本住宅・木材技術センター(tel(03)5653-7662)
■木材保存士
公益社団法人日本木材保存協会(tel(03)3436-4486)
Q 1-7 認証事業者の認証はどのように行われますか。
①問い合わせ・契約
認証申請をする品目・区分をどれにするか決めてください。
AタイプまたはBタイプのどちらのタイプで申請するか決めてください。
北海道以外の地域に所在し、認証を申請しようとしている工場の方は、Aタイプの申請は全木検に、同じくBタイプの申請は、工場が所在している都府県の都府県木(協)連の審査員・検査員にお問い合わせください。認証申請に関する情報を提供します。
全木検によるBタイプの認証を申請する方は、第三者検査機関と格付の検査委託に関する契約を交わして頂きます。
北海道に所在している工場の認証の申請については、一般社団法人北海道林産物検査会にお問い合わせください。
②申請の準備
※以下では、全木検による認証の手続等について説明します。
認証に必要な品質管理、格付、乾燥、保存処理の有資格者数を確認してください。認証に必要な有資格者がいない場合または人数が足りない場合は、Q1-4に記した方法により、必要な有資格者数を確保してください。
人工乾燥処理製材と天然乾燥処理製材の認証を申請する工場の木材水分計(含水率計)、機械等級区分製材の認証を申請する工場の木材水分計と機械等級区分装置等は、申請をする前に、公的試験機関の試験を受けてください。
申請品目の製造管理データを2箇月以上の期間を対象に記録し、所定の様式により整理してください。
③申請と受付
申請者は、必要なデータと書類を整えて認証申請書を提出してください。
申請者と全木検との間で、認証合意書を締結します。Bタイプの認証を申請する方は、認証合意書に第三者検査機関との検査委託契約書の写しを添付してください。
全木検は申請者が提出した申請書に必要な書類及びデータの存在を確認し、これらを確認した場合、申請者に申請を受付けた旨の連絡をし、認証手数料等をご請求します。
全木検は、請求書の指定口座への認証手数料等の入金を確認してから、書類審査を開始します。
④書類審査
全木検は、申請書の書類審査の開始を知らせる「認証申請書の書類審査等の計画書」を認証申請者にお送りします。
全木検は書類審査を行い、その結果を認証申請者に文書で通知します。
⑤実地調査・製品検査
全木検は、書類審査に合格した申請書を提出した申請者に、実地調査計画書をお送りします。
実地調査計画書に基づき、全木検の審査員・検査員が申請のあった工場を訪問し、実地調査及び製品検査を行います。
全木検は、実地調査及び製品検査の結果を審査及び検査・試験し、申請者に結果を文書でお知らせします。
⑥審査の判定
全木検は審査・判定委員会を開催し、同委員会は書類審査及び実地調査・製品検査並びにその他認証に係わる事項の審査を行い、認証の可否を判定します。
全木検は、審査・判定委員会の判定結果を申請者に通知します。
⑦認証の登録
全木検は審査・判定委員会で認証できると判定された事業者を、認証事業者として登録します。
全木検は新たに認証した事業者に、認証書、認証通知書及び認証事業者の遵守事項を記載した書類をお送りします。
⑧認証の報告・公表
全木検は新たに認証した事業者の名称、所在地、認証品目・区分等を、農林水産大臣に報告します。
全木検は、認証事業者の名称、所在地、認証品目・区分等の主な情報を、ウェブサイトで公表します。
Q 1-8 認証事業者にはどのような義務がありますか。
認証事業者には、次のような事項を遵守いただきます。
(1) 認証に係る事項が、認証の技術的基準の要求事項並びに全木検の要求事項に適合するよう維持すること及び格付される製品が継続してJAS規格を満たすこと。
(2) 格付の表示に係るJAS法の規定を遵守すること。
(3) 農林水産大臣の行う格付の表示の改善命令に違反し、又は農林水産大臣による報告若しくは物件の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の物件の提出をし、農林水産大臣若しくは農林水産消費安全技術センターの立入検査を拒否、妨害若しくは忌避し、若しくはこれらの規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしてはならないこと。
(4) 認証事項を変更する場合は、変更内容について事前に全木検に届け出て、その指示に応じること。
(5) 該当する製品の認証事業を廃止しようとする場合又は認証の継続を望まない場合は、事前に全木検に届け出てその指示に応じること。
(6) 認証を受けている旨の広告又は表示等の表明を行うときは、認証に係る農林物資以外の製品について全木検の認証を受けていると誤認させ、又は全木検の認証の審査内容その他の認証に関する業務の内容について誤認させる恐れのないようにすること。また、認証書の写しを取引先等に提供する場合は、複製である旨を明記(複製、コピー、写し等)し、全てを複製すること。
(7) 認証を受けている旨の広告又は表示等の表明を行うときは、認証に係る農林物資が当該農林物資の日本農林規格に適合していることを示す目的以外の目的で行ってはならないこと。
(8) 全木検が、(6)又は(7)の規定に違反すると認めて表明の方法の改善又は中止を求めたときは、これに応じること。
(9) (6)又は(7)のほか、他人に認証、格付又は格付の表示に関する情報の提供を行うに当たっては、認証に係る農林物資以外の製品について全木検の認証を受けていると誤認させ、又は全木検の認証の審査の内容その他の認証に関する業務の内容について誤認させる恐れのないように努めること。
(10) 前年度の月別格付実績表に年度合計を付して、毎年4月15日までに全木検に報告すること。
(11) 全木検が行う審査及び監査において、必要な製品検査・試験、品質システム及び格付システム等に関係する全ての施設への立ち入りと記録の閲覧及び報告に応じるとともに、全木検との面接のための準備を行うこと。
(12) 全木検が認証に係る監査によらない必要な調査が生じた場合も(11)と同様に応じること。また、この結果、必要な場合には格付の表示の中止又は該当製品の格付の表示の抹消の要請に応じること。
(13) 認証事業者が(1)から(11)までの号に違反し、又は(12)の調査を拒否、妨害若しくは忌避したときは、全木検は認証の取消し又は格付に関する業務及び格付の表示を付した製品の出荷の停止を請求できること。
(14) 認証事業者が、(13)の請求に応じないときは、全木検はその認証を取消すこと。
(15) 認証の取消し又は格付に関する業務及び格付の表示を付した製品の出荷の停止の場合には、認証に関する全ての表示を中止するとともに、該当製品の格付の表示の抹消を行い、認証書等の返却をすること。
(16) 認証事業者はその認証を取り消されたとき、すでに当該認証に係る格付の表示の付してある農林物資(製材等)の出荷を停止すること及び全木検が適当でないと認める格付の表示の除去又は抹消をすることの指示に応じること。
(17) 全木検は前項(16)の指示に応ぜず、その認証を取り消された日から相当の期間が経過した後も、当該認証に係る格付の表示の付してある農林物資(製材等)の出荷の停止をしない場合及び全木検が適当でないと認める格付の表示の除去又は抹消を行わない場合、その旨を公表すること。
(18) 製品の格付に関連して持ち込まれた苦情に対して、適切な処置及び処理責任を負うとともに、その記録を全木検の求めに応じて、利用させること。また、これらの苦情及び認証要求事項について適合性に影響を与える製品の不備に関しては、該当製品の格付の表示を抹消する等の適切な処置を文書として保存するものとすること。
(19) 認証事業者が行う格付において、格付を担当する者は、JAS法令が改正になった場合又は定期的(3年ごと)に全木検の研修会等を受講すること。
(20) 認証事業者が自ら格付のための検査・試験を行う場合、全木検が検査・試験の信頼性を確認するための検査・試験の求めに応じること。
(21) 認証事業者は債務決済(認証手数料等)を支払期日に履行すること。
(22) 全木検が次の事項を公表すること。
認証事業者の氏名又は名称及び住所、認証に係る農林物資の種類(品目・区分)、認証に係る工場の名称、所在地、認証の年月日、認証番号及び格付の表示の表示範囲
(13)による請求をしたとき又は認証を取消したときは、当該請求又は取消しの年月日及び当該請求又は取消しをした理由
格付に関する業務を廃止したときは、当該農林物資の製材等の種類(品目・区分)及び廃止年月日
(23) 日本農林規格の改正、国又は全木検の認証の基準の変更が行われた場合には、全木検の指示に従うものとすること。
Q 1-9 JAS認証の手数料はいくらですか。
新たにJAS認証を取得する際の手数料については、JAS認証手数料等規程をご覧ください。

同時に複数の認証を取得する場合の手数料は、項目別区分別手数料の中から新規認証手数料が最も高い区分の手数料に、追加申請手数料を追加件数に応じて加算します。

[例1 Bタイプ認証工場の構造用製材と人工乾燥処理構造用製材を同時に申請する場合(1樹種1形状)]
Q 1-10 Bタイプ認証工場における格付のための手数料はいくらですか。
Bタイプ認証事業者は、格付の検査を第三者検査機関に依頼するため、格付検査のための費用が発生します。第三者検査機関は、Bタイプ認証工場において20日以内に1回「1種検査」による格付検査を行い、「1種検査」に連続して5回合格した場合は、50日以内に1回行う「2種検査」による格付検査を行います。この格付検査の手数料は、第三者機関ごとに異なりますので、所在する都府県の第三者機関にご照会ください。

[例2 全木検第三者機関によるBタイプ認証工場で構造用製材と人工乾燥構造用製材の認証を取得している認証事業者の格付検査に要する手数料の事例(1樹種1形状)]
Q 1-11 認証の維持を確認する監査には手数料が発生しますか。
認証の維持を確認する監査にも手数料が発生します。JAS認証に有効期限の定めはありませんが、全木検は認証事業者の要件の維持を確認する監査を、おおむね1年に1回行います。

[例3 Bタイプ認証工場で構造用製材と人工乾燥構造用製材の認証を取得している認証事業者の監査手数料の事例(1樹種1形状)]
2.輸出用木材こん包材についての質問と回答
Q 2-1 輸出用木材こん包材とはどのようなものですか。
輸出用木材こん包材とは、国際貿易に用いる木製のこん包材をいいます。熱処理または燻蒸処理をしていない木製のこん包材は、こん包材に使用する木材の表面に付着及び内部に入り込んだ昆虫並びに昆虫の卵の孵化により、輸出先に被害が及ぶ事態が想定されるため、そのような被害を防ぐための防疫措置がとられています。

輸出用木材こん包材の防疫面での国際的な基準として、FAO(国連食糧農業機関)の国際植物防疫条約に基づく『植物検疫措置に関する国際基準第15号』があります。また、農林水産省消費・安全局は、この国際基準に示された条件を満たすための手続等を示し、我が国において関係者が輸出用木材こん包材の適切な消毒、表示等を行うための便宜を図り、我が国からの貨物の円滑な輸出を確保するために、輸出用木材こん包材消毒実施要領を定めて運用しています。

輸出用木材こん包材消毒実施要領では、輸出用木材こん包材を次のように定義しています。
輸入条件として国際基準に即した消毒及び消毒処理済み表示を要求している国又は地域向けの貨物(携帯品及び郵便物を含む。)の保持、保護又は運搬に用いる木材又は木製品(紙製品を除く)であって、クレート、木箱、荷箱、ダンネージ、リール等を含む非加工木材をいう。
また、輸出用木材こん包材は、樹皮を除去した木材を使用し作成すること(ただし、樹皮の大きさが、長さに関係なく幅3㎝未満であるものや、幅が3㎝以上であっても各々の表面積が50㎝2未満であれば差し支えない)。

また同要領では、以下の輸出用木材こん包材については、対象としない(=国際基準でも対象外)こととしています。ただし③及び④については、輸入国の要求により、特別の取決めが定められている場合は、同要領の輸出用木材こん包材の対象とします。

薄い木材(厚みが6㎜以下)で全体が作られた木材こん包材
接着材、熱、圧力若しくはそれらの組み合わせでつくられた合板、パーティクルボード、配向性ストランドボード(MDF)又はベニヤなどの加工木材原料で全体が作られた木材こん包材
製造中に加熱されたワインや蒸留酒用の樽
有害動植物が存在しない状態になる方法で加工・製造された木材から作られた、ワイン、葉巻及びその他の品目用のギフトボックス
おがくず、木材かんな屑及び木毛
船舶及び航空機等並びに輸出用コンテナに常に取り付けられている木材部品
積荷が材木や板材であって、積荷と同じ種類、品質であり、植物検疫要件を満たす材木や板材で構成されるダンネージ
Q 2-2 輸入国の防疫措置の対象とならないように輸出用木材こん包材を加工するにはどうしたら良いでしょうか。
輸出用木材こん包材が輸入国の防疫措置の対象とならないようにするためには、こん包材に使用する木材を消毒する必要があります。さらにQ2-3に記した方法で、輸出用木材こん包材が消毒済みである証明を行う必要があります。

輸出用木材こん包材の消毒処理方法には、熱処理による方法と臭化メチル燻蒸による方法があります。

熱処理による消毒は、輸出用木材こん包材の材芯温度を56℃以上で、かつ、30分以上保つよう加熱して行われます。この加熱は、恒温加熱乾燥方式(蒸気式加熱遠方式、赤外線加熱方式等)または蒸煮加熱方式により行います。

なお、臭化メチル燻蒸処理による消毒は、オゾン層に影響を及ぼすため、消毒方法は原則として熱処理を採用することとされています。前述のように、全木検では、臭化メチル燻蒸による消毒処理をする消毒実施者の認証をしていません。
Q 2-3 輸出用木材こん包材が消毒済みであることを、どのようにして証明しますか。
輸出用木材こん包材が消毒済みである証明は、国際基準で定められた標章を輸出用こん包材に表示して行います。

日本では、農林水産省消費・安全局の輸出用木材こん包材消毒実施要領が定め同省消費・安全局長が登録した消毒証明実施機関が、消毒処理をする事業所を認証し(「認証消毒実施者」といいます。)、認証消毒実施者が消毒したこん包用木材を、消毒証明実施機関が登録したこん包材生産者(「登録こん包材生産者」といいます。)が購入して輸出用木材こん包材を作り、登録こん包材生産者が必要に応じて消毒済みの標章をこん包材に表示します。

消毒済みを示す標章は、標章が明瞭に判読でき、恒久的かつ取り外せない方法で、一面と反対側の少なくとも二面に表示するよう定められています。標章の表示内容には、登録こん包材生産者の登録番号が含まれ、公開されている登録こん包材生産者の情報により、どの国のどのこん包材生産者が生産したこん包材であるかが、登録番号により判るようになっています。
Q 2-4 認証消毒実施者として認証されるには、どのような手続が必要ですか。また、認証されるには、どのような基準を満たさなくてはなりませんか。

認証消毒実施者は消毒証明機関が認証します。全木検は、農林水産省消費・安全局長が消毒証明機関として登録した機関の一つです。

なお全木検は、熱処理による消毒を行う消毒実施者だけを認証していますが、臭化メチル燻蒸により消毒をする消毒実施者の認証はしていないのでご注意ください。

■認証消毒実施者の申請
申請者は、認証消毒実施者認証申請書及びその添付書類並びに輸出木材こん包材認証消毒実施者同意書を作成し、全木検に申請してください。書類の様式は、全木検のウェブサイトからダウンロードできます。
■認証の基準
消毒実施者の認証は、工場の処理及び保管施設、製造施設、品質管理、表示等の認証の要件の適合を基準として行います。

全木検は、申請書類審査及び工場調査の結果を受けて、認証の判定を行います。

なお加熱処理施設は、基準温度を持続して保持でき、処理施設内の温度を温度計で測定し、処理施設外で測定値の確認及び記録できる自動温度記録装置が備えつけられている施設でなければなりません。また消毒実施者は、加熱処理施設の自動記録装置の記録により、熱処理による消毒の実施を登録こん包材生産者に証明できなければなりません。

認証の基準の詳細については、全木検までお問い合わせください。
■認証の通知
全木検は、申請者に認証の通知を認証通知書等の書面により行います。
■認証消毒実施者の責務
認証消毒実施者には、主に次の事項を遵守いただきます。遵守事項の詳細と、この他の遵守事項については、全木検にお問い合わせください。
認証申請書に添付した熱処理標準表に基づいた消毒を実施すること。
消毒処理を行った木材には消毒実施済みの表示を行い、登録こん包材生産者への出荷にあたっては、「熱処理等実施記録」を添付すること。
消毒の実績を「消毒処理実績報告書」の様式によりとりまとめ、同報告書を全木検に四半期別の報告期日までに送付すること。
一年に一回、全木検の定期実地調査を受けること。
Q 2-5 登録こん包材生産者として登録されるには、どのような手続が必要ですか。また、登録されるには、どのような基準を満たさなければなりませんか。

登録こん包材生産者は消毒証明機関が登録します。全木検は、農林水産省消費・安全局長が消毒証明機関として登録した機関の一つです。

■登録こん包材生産者の申請
申請者は、登録こん包材生産者登録申請書及びその添付書類並びに輸出木材こん包材登録こん包材生産者同意書を作成し、全木検に提出してください。

標章スタンプを全木検に依頼して作成する場合は、「輸出用木材こん包材標章登録申請書(全木検指定様式)」を、申請時に提出してください。

なお、標章スタンプを全木検の様式以外の様式で作成する場合は、登録木材こん包材生産者として登録され、全木検から登録番号の通知があった後に、「輸出用木材こん包材標章登録申請書(任意様式)」に標章の印影を写して申請してください。

これらの書類の様式は、全木検のウェブサイトからダウンロードできます。
■登録の基準
全木検は、申請書類審査と必要に応じた工場調査によりこん包材生産者の登録の判定を行います。

こん包材生産者の登録は、主にこん包材生産工程における生産管理責任者及び標章管理責任者並びに消毒済こん包材の保管場所及び保管方法等の要件の適合等を基準として行います。

また、標章の登録については、申請のあった印影が要件を満たしているかを審査します。
■登録の通知
全木検は、申請者に認証の通知を認証通知書等の書面により行います。
■登録こん包材生産者の責務
登録こん包材生産者には、主に次の事項を遵守いただきます。遵守事項の詳細と、この他の遵守事項については、全木検にお問い合わせください。
認証消毒実施者が消毒処理をした木材に表示した消毒済みの印及び消毒実施記録を確認し、その木材から生産した輸出用木材こん包材に、必要に応じて登録した標章を表示すること。
標章の表示実績を帳簿等に記録して保管し、この記録を登録こん包材生産者標章表示実績報告書の様式によりとりまとめ、同報告書を四半期別の報告期日までに全木検に送付すること。
全木検が三年に一回実施する実地調査を受けること。
Q 2-6 消毒実施者の認証取得等の費用、こん包材生産者の登録等の手数料はいくらですか。
■消毒実施者の認証等の費用
消毒実施者の認証にあたっては、認証手数料が発生します。また最長で三年の認証有効期間後に認証の更新を行う場合は、認証期間更新手数料が発生します。また、認証時または更新を行った年度に一回、認証有効期間の最終年度に一回、実地調査を行うため、実地調査手数料が発生し、検査員が実地調査のために工場を訪問するのに要する旅費が発生します。

なお、人工乾燥のJAS認証を受けている認証消毒実施者の手数料は、JASの監査と同時に実施した場合は減額されます。

消毒実施者の認証等の手数料
■こん包材生産者の登録等の費用
登録こん包材生産者には、登録管理手数料が毎年発生します。また、最長で三年の登録有効期間内に一回行う実地調査のために、検査員が工場を訪問するための旅費が発生します。

こん包材生産者の登録等の手数料
■その他の費用
臨時の実地調査、依頼調査及び不適合事項の確認等に要する実地調査には別途手数料が発生します。詳しくは全木検にお問い合わせください。